裁判員裁判

1 裁判員裁判の対象事件

裁判員裁判は、すべての刑事事件が対象になるわけではありません。裁判員裁判の対象事件は、法で定められた重大事件に限定されており、具体的には、殺人、強盗致死傷、傷害致死、現住建造物等放火、身代金目的誘拐、危険運転致死、保護責任者遺棄致死などが、裁判員の参加する裁判で審理されることになります。ただし、裁判員に対して危害が及ぶ恐れがある暴力団関連事件等については、対象から除外される場合もあります。

2 裁判員裁判の特徴

(1)合議体の構成が違う

通常の刑事事件では、法律の専門家である裁判官3人又は1人が証拠を取り調べて事実を認定し、判決を下します。これに対し裁判員裁判では、裁判官3人に加えて、国民の中から選ばれた裁判員6名が審理に加わります。裁判員は、証拠から事実があったかなかったかを判断し(事実認定)、そして犯罪行為があるとすればどのくらいの刑を科すのが相当か(量刑)を裁判官と共に評議して、決定します。

(2)事前準備を前提とした集中審理が行われる

裁判員裁判では、冒頭手続から判決まで連日公判が開かれ、短い事件では3日で、複雑な事件でも2週間ほどですべての審理が終わり、判決が下されます。このようなスピード審理を可能にするためには、事前に弁護人、検察官、裁判所の三者間においてどのような争点があるのかを確認し、審理スケジュールを立てておくことが不可欠です。そのため、裁判員裁判では、事前に公判前整理手続を行うことが義務付けられています。公判前整理手続では、検察官が証拠として請求する予定の証拠以外の証拠も含めた開示を受け、検察官・弁護人が互いに主張を出し合い、何が裁判上争点になるのか、どのような証拠により立証するのかを吟味して、それぞれの証拠調べに何分かかるかと言うところまで詳細に決められた審理スケジュールが立てられます、

(3)弁護人も冒頭陳述を行う

刑事裁判では、証拠調手続の冒頭に検察官から、今回の裁判でどのような事実を証明しようとするのか、一連のストーリーが語られます(冒頭陳述と言います)。裁判員裁判以外の事件においては、弁護人が冒頭陳述をするか否かは任意ですが、裁判員裁判においては弁護人にも冒頭陳述をすることが義務付けられています。冒頭陳述をする際には、裁判員用のレジュメを作って配布した上で行うのが有効です。パワーポイントが使用されることもあります。

(4)目で見て耳で聞いてわかる裁判

裁判員裁判以外の事件では、証拠書面についてはその一部だけを法廷で朗読すれば足り、後ほど裁判官が部屋に戻って証拠書面を読み、事実を認定するということが行われていました(いわゆる調書裁判)。そのため、必ずしもわかりやすくまとまった書面が提出されてはきませんでした。裁判官が時間をかけて読むことを前提に、膨大な数のわかりにくい書面が提出され、審理が遅延するということもありました。

これに対し裁判員裁判では、証人の言葉が記載された供述調書ではなく、証人を法廷に呼び、直接証人から話を聞いて事実を判断することになります。裁判員の目の前で証人の認識した事実を語ってもらい、それが信用できるのかどうか、耳で聞き、目で見て判断することになるのです。証人として尋問を行わなかった事件関係者の供述調書や、捜査の結果を報告した書面等の取調べについても、原則として法廷で書面の全文朗読が行われます。書面自体は裁判所に提出されるものの、スピード審理ですので裁判員が書面を精読する時間はありません。つまり、1回で内容が理解できるような形で書面の朗読を行う必要があるのです。そのために、大幅な証拠のスリム化が図られています。

また、証拠に添付された写真等については法廷備え付けのモニターに映し出され、説明が加えられます。上で述べた通り、パワーポイント等を使った説明もしばしば行われています。このように、一般市民が目で見て耳で聞いて理解し、常識に沿った形で、事実の有無や刑の重さを判断することができるように工夫されています。

3 裁判員裁判の弁護に際して気を付けるべき点

(1)一回勝負の裁判

上で述べた通り、裁判員裁判においては、限られた日数の中で一気に審理が行われるため、書面を提出して裁判官室で判断してもらうというこれまでの刑事裁判の手法は通用しません。いわば「一回勝負」の裁判になります。そのため、証拠調べの際に書面を朗読する際には、内容のわかりやすさはもちろん、同音異義語や専門用語等に気をつけながら、聞き取りやすく朗読する必要があります。

また、原則として公判前整理手続で請求している証拠以外の証拠を追加提出することが認められないため、裁判の冒頭の段階で弁護方針が確立している必要があります。そのため、事前の公判前整理手続を通じて検察官の立証構造を正確に把握すると同時に、弁護人側の「ケース・セオリー」(裁判員に事件の実像を正確に把握してもらうための事件の説明で、すべての証拠を矛盾なく説明できるもの)を確立し、一貫した弁護方針に基づき主張・立証を行わなければなりません。

(2)法律概念の説明

刑事裁判では、「殺意」「正当防衛」「責任能力」「共謀」などの法律概念がしばしば登場します。これまでは、法律に精通した裁判官のみが判断者でしたから、当然このような法律概念について説明する必要はありませんでした。

しかし、裁判員裁判においてはこれら法律概念について、わかりやすい言葉に置き換えて説明を行なった上で、証拠を提示しなければなりません。たとえば、「殺意」についてであれば、凶器が包丁だった場合と金槌だった場合にどのような差があるか、胸を刺すのと足を刺すのにどのような違いがあるか、刺した後自ら救急車を呼んだことをどのように評価するべきかなどについて、「殺意」の根本に立ち返った説明が求められます。

(3)公判前整理手続を使いこなす

上で述べた通り、裁判員裁判では連日開廷による集中審理の準備のために公判前整理手続が行われ、争点と証拠の整理が行われます。公判前整理手続では、検察官の請求予定証拠だけでなく、検察官請求証拠の証明力を判断するための一定類型の証拠(類型証拠)、さらに弁護人がする予定の主張に関連する証拠(主張関連証拠)についても検察官から開示を受けることができます。弁護人としては、検察官がどのような証拠構造で事件を立証しようとしているのか把握するとともに、他にどのような証拠が検察官の手持ち証拠として存在するか、犯罪類型ごとに想像力を働かせて開示請求を行い、開示された証拠を精査して各証拠の信用性を吟味し、公判に備える必要があります。

(4)証人尋問における対応

もっとも難しいのが証人尋問です。起訴された犯罪事実を認めている事件であっても、ただ「反省している」「考えが甘かった」などの抽象的な言葉を述べるだけでは、裁判員に被告人の反省の気持ちを伝えることはできません。被告人自身の言葉で、自らが犯した犯罪行為の起こした結果、被害者に与えたダメージ、今後の自分の更生について語らなければなりません。

また、起訴された犯罪事実を否認している事件では、検察官が請求する証人の証言の信用性を徹底的に争う必要があります。証言が客観的な証拠と矛盾している点や、不自然、不合理な点について、その証人尋問を1回聞くだけでわかるような形で尋問を行わなければならないのです。証言のおかしなところを指摘してはいるが結局何が聞きたいのかわからない尋問では、裁判員には決して伝わりません。そのため、尋問のリハーサルを行い、別の弁護士に客観的な視点からアドバイスをもらうなど、徹底的な準備が必要になります。

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緊急接見費用5万円

罪を認めている事件(裁判員裁判以外)の場合

起訴前弁護の場合
着手金:20万円
報酬金:30万円
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着手金:20万円
報酬金:30万円

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