窃盗罪について

1 窃盗罪の条文

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

2 窃盗罪の具体的内容

窃盗罪とは、他人が占有する他人所有の財物(財産的価値ある有体物をいい、窃盗罪では不動産以外の有体物を財物としています。不動産の場合には不動産侵奪罪が成立します。)の占有を、占有者の意思に反して取得する場合に成立する犯罪です。

なお、自己所有物でも他人が占有する財物を窃取した場合にも占有罪が成立します。自己所有物でも窃盗罪が成立するということは、法律が守ろうとする法的利益は所有権ではなく占有という事実状態になります。

財物の意義ですが、財産的価値ある有体物で窃盗罪の場合には不動産は含まれません。電気は有体物ではありませんが、刑法245条で財物と見なすと規定しております。たまに、電柱から電気を引き込んで電気窃盗として検挙されることがあります。

占有の意義ですが、財物に対する事実上の支配で足りるとされており、法的な権限に基づかない占有、例えば、盗品の占有者から窃取した場合にも窃盗罪が成立します。

財物の占有が誰にもない場合にその財物を取得する時には遺失物横領罪が成立します。財物の占有が他人ではなく他人から委託を受けて自己に属している場合には横領罪が成立します。このように窃盗罪と言っても、場合によってはどの犯罪が成立するか微妙なことが少なからずあります。

では、どのような場合に財物に対する事実上の支配があるのでしょうか?

例えば、ベンチにバックを置いてその場を短時間離れて直ぐ戻る予定だった場合にそのバックを取られた場合はどうでしょうか?その場合には、判例は財物に対する事実上の支配、占有を認めています。他方、スーパーマーケットの6階のベンチに置き忘れて近い1階に移動した場合には判例は置き忘れた財物に対する占有を否定しています。

そのような意味で、窃盗罪が成立するか、遺失物横領罪が成立するかは微妙な所があります。

では、死者が所持していた財物について死者の占有、事実上の支配は認められるのでしょうか?

判例は死亡直後の範囲で死者が生前事実上支配していた財物については死者に占有があるとして、死者の占有している財物を持ち去った場合窃盗罪が成立するとしています。もっとも、どこまで「死亡直後の範囲」とするかについては判例の判断はケースバイケースと言っていいかと思います。

では、店舗で従業員が担当している売り場の商品を持ち帰った場合はどうでしょうか?

通常、その従業員が販売担当に過ぎず商品の処分権限を有していない場合にはその従業員には商品に対する事実上の支配、占有がないものとして、窃盗罪が成立し、業務上横領罪は成立しません。

では、最近社会問題となっているオレオレ詐欺で、銀行に振り込まれたオレオレ詐欺の被害金を引き出す役割をした者(出し子と言われています)が銀行のATMから預金を引き出す行為は詐欺罪に該当するようにも思えます。しかし、詐欺罪は人を欺罔する(騙す)行為でありATMは人ではなく機械であり、ATM内の金銭の占有は銀行の支店長にあるため、出し子の行為は銀行支店長に対する金銭の窃盗罪に問われます。もとより、オレオレ詐欺について共謀していれば、詐欺罪と窃盗罪が成立することになります。

では、覚せい剤や麻薬など法律で所持が禁止されている禁制品を窃取した場合に窃盗罪が成立するのでしょうか?

法律上所持が禁止されているのですから、そのような禁制品を占有者の意思に反して取得しても、窃盗罪の保護法益を侵害することはなく従って窃盗罪が成立しないようにも思います。

しかし、判例は禁制品の窃取も窃盗罪が成立するとしております。すなわち、前に記載しましたように、財物に対する事実上の支配を殺到罪は保護法益としており、正当な事実上の支配か違法な支配かは問わないのです。

未遂時期のとらえ方

窃盗罪未遂罪が成立するには、窃盗行為の着手がなければなりません。

具体的には窃盗罪の態様によって着手時期は異なってきますが、住居侵入窃盗の場合には住居に侵入しただけでは足りず金品の物色をするためにタンスなどに近づいた時点で着手があるとされています。スリの場合には、ポケットに財布などが入っているかを確かめるために触る当たり行為では着手には当たらず、実際に財物をスルためにポケットに触った時点で着手に当たり、その時点で未遂罪が成立します。

既遂時期のとらえ方

窃盗罪は財物の占有を取得したときに既遂になるとされていますが、いつ既遂になったかの判断は画一的ではなく、財物の性質、財物搬出の難易、占有者の事実上の支配状況などを総合して判断することになります。判例によれば、店舗内の靴下を衣服の中に隠した場合、他人の浴室内で発見した所有者不明の指輪を浴室内の簡単に発見できない場所に隠匿した場合には窃盗既遂となると判示しています。スーパーで買い物をしてレジで精算せずにそのまま店外に出た場合にはレジを通り過ぎた時点で既遂になります。

他方で、工場内から物品を窃取したが構内から出ていない時点では未だ既遂に達していないと判示しています。

窃盗罪の具体的態様について

窃盗罪で身近で当弁護士法人で受任することが多いのは、万引き、建造物侵入(住居侵入)・窃盗事案です。

万引きはスーパーやコンビニなど店舗内の商品を手持ちのバックに入れたり衣服に隠して店外に持ち去る方法ですが、現行犯逮捕による検挙がほとんどといっていいでしょう。現行犯逮捕の場合には盗品は証拠としての利用価値がなくなれば被害店舗に戻される訳ですが、だからと言って、当然ですが、窃盗罪でなくなる訳ではありません。

中には質屋に持ち込んで換金する場合で、被害店舗から被害届けを受理した警察が質屋も照会をすることで万引きが発覚することもあります。万引きの同期には様々ですが、金銭に困っての犯行の場合もありますが、ストレスが原因の場合、遊び感覚の場合、盗癖による場合等です。

建造物侵入・窃盗罪は俗に言う事務所荒らしですが、この場合には被害金額も大きいことが多く、手口が巧妙で、頻繁に繰り返してなされる職業犯的な場合が大半です。

住居侵入・窃盗罪は俗に言う空き巣ですが、深夜居住者が就寝中に住居侵入して窃盗を行う場合には時として強盗事件に発展することもあります。

2 窃盗罪の量刑基準

窃盗罪による被害金額の大小、窃盗行為の内容-計画性、頻度、手段の危険性(住居侵入など)、余罪の有無、示談ないし被害弁償の有無・額、反省状況、窃盗の目的・動機(窃盗で取得したい財物の換金の有無など使途を含む)、前科の有無、内容などを参考として量刑が決まります。

示談できれば、通常起訴猶予となりますが、示談できない場合でも、万引きで被害金額が軽微であれば、略式起訴での罰金刑で終わる場合もあります。被害金額が軽微でなければ、起訴されて正式裁判となります。被害弁償や示談ができない場合で被害金額が10万円を超える場合には初犯でも実刑判決の可能性が高いと思って下さい。

3 窃盗罪の弁護内容

起訴前刑事弁護

起訴前刑事弁護で一番重要なことは被害者からの示談取り付けです。しかし、万引きなどの場合ではコンビニやスーパーなどが被害者となるのが通常で、その場合には会社の方針として示談には応じず、被害弁償や被害品の買取にも応じてもらえないことが通常です。その場合には被害者を相手方として供託をすることになります。供託ができない時には贖罪寄付をすることになります。しかし、供託をしても起訴は免れることはまずありません。被害金額が軽微であれば、示談や被害弁償ができなくとも略式起訴による罰金刑となりますが、これは初犯の場合で再犯の場合には起訴されて正式裁判となります。

現行犯逮捕では、窃盗した被害品が被害者に戻されることが通常でその場合には被害弁償ということ自体ないはずですが、実際には被害者に迷惑を掛けているので、示談の取り付けや被害弁償をする刑事弁護活動をすることになります。

起訴前弁護では被疑者に対する助言も重要です。取調においては、通常窃盗罪の場合にはその犯罪だけでなくその他の犯罪(余罪といいます)が行われていることが多いため、余罪についての取調も行われ、その過程で不当な取調により余罪についての自白強要も起こりえます。本罪についての取調でも供述調書作成に当たって警察官や検察官が誇張して供述調書を作成する可能性も否定できません。そのような場合には、弁護士は供述調書の記載を訂正するように助言し、訂正を捜査官が応じない場合には書名押捺を拒否するように助言します。自白事件でも取調に問題があるときには日弁連作成の「被疑者ノート」を差し入れて取調状況をその都度作成するように助言することもあります。否認事件では当初から被疑者ノートを差し入れます。

公判刑事弁護

公判刑事弁護でも自白事件では、示談取り付け、被害弁償が弁護活動の基本です。窃盗罪でも起訴事実を否認して無罪主張する否認事件も少なくありません。この場合、事案として多いのは誤認です。つまり、窃盗犯人は別人であり被告人が犯人と誤解されたとの主張です。目撃証人が似たような服装人相を理由として被告人が犯人だと証言したことを理由として起訴されることもあります。これは痴漢えん罪と同じような構造といえます。このケースでは目撃証人の証人尋問で証言の信憑性を否定する弁護活動を行うことになります

窃盗刑事弁護全般に関する素朴な疑問

歩いていたら、高価な指輪が落ちていたので、交番に届けようとして歩いていたら、警察官に職務質問をされて、こちらから指輪のことを話す前に警察官から所持品検査をされて、ポケットから指輪が出てきてそのまま警察に任意同行されて窃盗罪で逮捕され、検察官にも弁解を信じてもらえず、窃盗で起訴されました。どうしたらいいのでしょうか。

窃盗事件の発生現場と時間的、場所的に近接した日時、場所で窃盗被害品を所持していた場合に、そのことを情況証拠として、窃盗被害品の所持者を窃盗犯人として推測する考え(近接所持の理論と言っています)をもとに、逮捕起訴されたものです。

しかし、近接所持の理論は、情況証拠に基づく事実認定のあり方にしかすぎず絶対的な決め手になるものではありません。そこで、窃盗被害発生と窃盗被害品所持との時間的近接性がどの程度か、場所的近接性がどの程度かをまず十分吟味する必要があります。窃盗被害発生後すぐに盗品を所持していたとすれば窃盗犯の可能性が高まりますが、数時間以上経過していれば、盗品入手に関する本人の主張が説得力があり、かつ裏付けがあるのかを吟味して判断することになります。盗品を所持していた場所が窃盗被害発生場所と近いか離れているかという場所的近接性も時間的近接性とともに吟味しなければなりません。

時間的場所的近接性に加えて、所持者本人の言い分も当然吟味しなければなりません。時間的場所的近接性があって、たとえば、窃盗発生後あまり時間がたっておらず窃盗現場近くで本人が盗品を所持していた場合でも、窃盗犯人がたまたま高価な指輪を落とし、本人がそれを拾ったということも十分考えられます。その場合には、本人が拾ったのを見ていた人がいれば、その人の証言で無罪となる可能性が高まります。目撃者がいなくとも、交番の方へ向かっていたとか、経済的な余裕があり窃盗をする動機がなければ無罪になる可能性があるでしょう。あるいは、犯罪歴が全くなく、本件犯行の手口が大胆で手馴れていなければできない手口であれば、無罪に傾くでしょう。

逆に言えば、起訴する検察官は、近接所持の理論による事実認定には慎重を期して認定を妨げる事情の有無や本人の言い分を十分に吟味して起訴するかどうかを決めているとも言っていいと思います。

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緊急接見費用5万円

罪を認めている事件(裁判員裁判以外)の場合

起訴前弁護の場合
着手金:20万円
報酬金:30万円
起訴後の依頼の場合
着手金:20万円
報酬金:30万円

外国人事件取扱い、通訳費用別途

表示価格は、税実費別となります。

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