傷害罪

傷害罪をめぐる刑事弁護全般

刑法の条文

刑法204条で、

「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」

と規定されています。

傷害罪の具体的内容

傷害、すなわち、「人の身体を傷害した」とは具体的にどのようなことを指すのでしょうか?

判例を見ますと、傷害とは、他人の身体に対する暴行により生活機能の毀損(損なうことを意味します)すなわち健康状態の不良な変更をもたらすこととか、他人の身体の生理的機能を毀損するものである以上手段を問わず、暴行によらず病毒を他人に感染させる場合も含むなどとされています(有斐閣、判例六法参照)。

したがって、殴るなど暴行を加えてけがをさせることだけが傷害に当たるのではなく、毒薬を服用させたり、脅かしたり嫌がらせで精神疾患やPTSDにさせたり、大音響を長時間出してストレスを与えて睡眠傷害にしたり、性病を感染させたりすることも傷害に当たります。なお、毛髪の切断、剃去する行為は傷害には該当しないとされています(大審院判決明治45年6月20日)。

傷害罪に該当するには、人の生理的機能を毀損する意思、傷害の故意を必要としますが、

暴行(人の身体に対する不法な有形力の行使と法律上定義していますが、正当な理由もなく人の身体に対して何らかの力を加えることです。)の故意で、たとえば、相手方の胸を押したら、相手方がバランスを崩して転んでしまいけがをした場合も傷害となります。このようなケースを刑法学では結果的加重犯と呼んでいます。

傷害の被害を受けた方が傷害罪として被害届けを出す場合には、警察から医師の診断書の提出を必ず求められます。その意味で、他人から暴行を受けた場合には医師の診察、治療を受けることをお勧めします。

傷害罪の弁護内容

起訴前弁護

被疑者(加害者)が傷害の事実を認めている自白事件(情状事件)においては、傷害結果が軽微であれば、逮捕されないか、逮捕されても勾留されずに在宅捜査に切り替えられることが多いといえます。しかし、傷害結果が重大な場合には逮捕勾留されるとお考え下さい。逮捕勾留されると、会社員の場合には会社を欠勤することになり、10日間の勾留となれば会社にいずれ傷害事件のことが発覚して何らかの懲戒処分を受けることになります。

そこで、逮捕勾留された身柄事件では、弁護士(弁護人)が検察官に対して勾留請求しないように折衝し、また、勾留請求を判断する裁判官に対して勾留決定しないように折衝し、勾留決定された場合には、早期に被害者から示談及び被害届け取り下げを取り付けることにより、釈放してもらうことが重要になってきます。なお、示談には被害者の連絡先を知らなければ示談交渉のしようがありませんが、弁護士(弁護人)から示談のための連絡先照会が検察官にあった場合のみ、検察官は被害者に連絡を取り弁護士(弁護人)に連絡先を教えていいか打診し了承を得られた場合に限り検察官から弁護士(弁護人)に被害者の連絡先が連絡される仕組みとなっています。

勾留期限までに被害者からの示談が取り付けられないことも当然あります。傷害結果が重大で後遺障害が残ることが予想される場合等は被害弁償額、示談金額が確定しないため示談しようにも示談ができないこともあります。もとより、そのような場合には示談の内容を工夫することで後日後遺障害が生じても被害者の賠償請求に支障がないようにすることもできますので、そのような形での示談交渉をします。傷害結果が重大な場合には示談金額、損害賠償金額も多額に上ることもあります。確実に後遺障害が発生することが見込まれ、かつ後遺障害が重度である場合には、後遺障害による逸失利益、後遺障害慰謝料、治療費などの合計が1000万円を超えることもあり得ます。交通事故でも重度の後遺障害の場合には1000万円を超えるのと同様ですが、交通事故は過失ですから故意による傷害罪の場合には同じ傷害結果でも傷害罪の方が交通事故の損害賠償額よりも多額となります。

公判弁護

勾留期限までに示談が取り付けられない場合には、傷害の程度によりますが、ある程度重度の傷害結果の場合には起訴されて正式裁判、公判請求されることになります。なお、軽微であれば、略式起訴による罰金刑で済む可能性が高いと言えます。また、示談を被害者から取り付けることができても示談金額が少なすぎる場合には略式起訴による罰金刑が科されることがあります。

公判請求された場合の刑事弁護の内容としては、起訴前弁護と同様被害者からの示談取り付けが中心となります。傷害行為の態様が悪質な場合や傷害結果が重大な場合には被害者に示談に応じていただけない場合も少なからずあります。その場合には傷害結果に見合った被害弁償をすることになります。被害弁償を受領してもらえない場合には被害賠償額を供託することになります。裁判所は被害弁償額が傷害結果に見合ったものであり、初犯であれば、執行猶予判決を下すことになります。

公判弁護で、傷害罪で起訴されて無罪を主張する場合としては、傷害行為を行った犯人は被告人ではなく他の人物であるとの主張があります。これを犯人性の問題と言っています。具体的にはたまたま傷害行為の現場を通りかかったところ傷害行為の犯人に間違えられたケースなどがあげられます。この場合には目撃証人の証言の信ぴょう性が争点となってきます。

犯人性の問題以外で無罪主張する場合としては、傷害行為を行ったことは確かだが、自己ないし第三者の生命身体の安全を守るために警察による対応を待つだけの余裕がない緊急事態で傷害行為をせざるを得なかったとの正当防衛の主張です。

傷害罪の量刑基準

傷害結果の程度(重大か軽微か)、示談の有無、示談金額、被害弁償の有無、被害弁償額、傷害行為の態様(悪質性、計画性など)、傷害行為の動機、被害者側の事情(傷害結果に被害者側に起因するものかどうか)を総合判断して量刑をすることになります。

酔っての傷害行為

傷害行為で比較的多いのは被疑者被告人が酔って傷害行為に及ぶ場合です。理論上は酔っているために是非善悪の判断能力(刑法上責任能力といいますが)がない(責任無能力)か、低下している(制限責任能力)ことが考えられますが、裁判実務上よほどの事情がない限り責任能力があるものとして審理されます。酔っての傷害行為の場合には行動に歯止めが利かず被害者に重傷を負わせることが少なからずありますので、十分注意ください。

傷害罪について

人の身体を傷害した場合は傷害罪が成立します。傷害罪は刑法204条に規定されており、罰則は15年以下のまたは50万円以下の罰金となっています。

なお、暴行を加えても怪我をしなかった場合は暴行罪になります。

傷害罪の論点

相手を殴ったが怪我をさせるつもりはなかった場合にも傷害罪が成立しますか?

成立します。傷害罪はいわゆる結果的加重犯と言われており、傷害については認識が必要とされていないためです。

自分も殴られており、被害者でもある。傷害罪は成立しないのではないか?

自分が殴られていたり、喧嘩であっても傷害罪は成立します。ただし、自分の方がケガがひどい場合は検察官が不起訴にするケースがほとんどで、よほどの事情がなければ示談の必要がない場合も多いでしょう。

また、相手が殴り掛かってきて、自分の身を守るために暴行をしたのであれば、正当防衛が問題となります。正当防衛が認められた場合は、違法性が阻却され、傷害罪は成立しません。

ただし、自分の身を守るためであっても、程度がひどい場合は過剰防衛と言って、犯罪自体は成立し、裁判になった場合に情状によって刑の減軽や免除があるにとどまります。

相手をなぐって怪我をさせたが、相手が仕事をさぼった制裁に殴っただけで、相手が「殴ってください」と頼んだためである。この場合にも犯罪になりますか?

相手の同意があった場合は違法性が阻却され傷害罪は成立しない場合もあります。しかし、同意は真意に基づく必要がありますし、怪我の程度がひどい場合には立件されることも十分に考えられます。

依頼しやすい料金設定に努めております。

緊急接見費用5万円

罪を認めている事件(裁判員裁判以外)の場合

起訴前弁護の場合
着手金:20万円
報酬金:30万円
起訴後の依頼の場合
着手金:20万円
報酬金:30万円

外国人事件取扱い、通訳費用別途

表示価格は、税実費別となります。

刑事弁護費用詳細

逮捕・起訴されて弁護士をお探しの場合

刑事弁護はスピードが勝負

無料法律相談ご利用下さい をご利用下さい(24時間受付)

お問い合わせはフリーダイヤル ご予約専用ダイヤル 0120-778-123

無料法律相談のご予約は24時間受付

上記が繋がりにくい場合は03-3436-5514まで

対応エリア